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カテゴリページ ・食後のムカムカとゴロゴロ ・フェンネル(ウイキョウ) |
古来から世界中で用いられてきた『フェンネル』第4回の今回は、甘い香りを持つ “スパイス” としてさまざまな料理に用いられて いるハーブ 「フェンネル」 について掘り下げたいと思います。 ◆フェンネル(Foeniculum vulgare)とは地中海原産セリ科の植物で、有史以前から人々に食品や薬として利用されてきていました。 ローマ帝国が拡大することに伴なってヨーロッパ中に広がり、エジプト、トルコ、その後、インドを経て中国、日本へ伝えられ、現在では、世界の様々な地域で栽培されています。 フェンネルは、葉を料理の臭みとりや香り付けに、柔らかい茎の下部はサラダなどに、そして乾燥した果実はスパイスとして、多くの料理に利用されています。 そうそう、インド料理レストランなどでは、口臭を防ぐため食後のガム代わりにつまめるよう、レジ付近においてあったりもします。 ◆フェンネルの有効成分と用法スパイスとして用いられるフェンネルの乾燥した果実は、精油を多く含み、この精油に薬効があります。 主成分はアネトール。その他、フェンチオン、d-ピネン、リモネン、ディペンテン、フェランドレン、アニス酸などが含まれています。 ちなみに、ドイツで医薬品として用いられるフェンネルは、精油含有率が4%以上、エストラゴール5%未満という明確な基準が設けられています。 もともと地中海地域で用いられていたフェンネルですが、ギリシャ医学、アラビア医学で薬として用いられ、その使用方法が基礎となってその後他の多くの国でも薬として用いられるようになったそう。 それでは、実際に各国でどのような目的に用いられているかを見てみましょう。 ○ドイツ 多くのハーブを薬として用いることが認められているドイツでは、フェンネルを医療用に用いる重要な植物として位置づけています。 コミッションE(薬用植物評価委員会)では、医薬品として用いるフェンネルの精油含有量を先述のように規定した上で、消化不良、胃腸障害、上気道炎などへ使用することを認めています。 消化不良改善薬、咳止めシロップ、胃薬などに配合されるほか、小児科用薬として、フェンネル水、トローチ、フェンネルジュース、フェンネルシロップが用いられています。 ○フランス・イギリス ドイツと同じように胃薬や咳止めなどに用いられていますが、フランスではアニスシードを一緒に用いることが多いようです。 なお、イギリスでは、ドイツと同じように消化不良や咳止めシロップとして使用しています。 ○アメリカ 医薬品としてではありませんが、薬効をもつハーブとして消化促進や駆風(おなかのガスをとる)に使用されています。 また、咳止めに、フェンネルシロップ、フェンネル蜂蜜などが利用され、乳汁分泌を促す目的にも用いられます。 その他、瀉下作用をもつハーブの刺激を和らげるために、下剤的に用いられるハーブレメディーにもしばしば配合されています。 ○インド アーユルベーダ薬局方では、フェンネル、フェンネルエキスを腹部膨満感、消化不良、摂食障害、乳児疝痛(※)へ用いることを勧めています。 ※乳児疝痛: 生後3ヶ月ぐらいまでの子供が激しく泣き続ける症状を指し、胃腸の痛みがあるのではと推定されていますが、詳しい原因はわかっていません。 ○中国 中医学では、「去寒、鎮痛、理気、消脹(寒気をとり、痛みを和らげ、気のめぐりを良くし、膨満感を取り除く)」の働きがある生薬とされ、西暦1200年頃にはすでに処方に組み込まれていました。 現在では、拒食、食欲減退に伴う上部腹痛、小腸疼痛、疝痛に使用されています。 その他、筋の緊張が伴う痛みにも有効として月経困難症に伴う下腹部痛、冷え、吐き気、下痢などにも応用できるとし、鎮痛効果を目的に使用していることが他国とは異なる特徴的な使用方法です。 「太平恵民和剤局方」という書物にフェンネルを用いた処方、安中散が記録されています。 ※中国では、フェンネルは “茴香(※日本語ではウイキョウ)” と呼ばれています。 ○日本 医薬品として、中国から伝えられた安中散が、冷え性で体力の比較的低下している人の「胃痛、胸焼け、食欲不振など」の症状に用いられています。 また、痰を切る働きがあるとして去痰薬としても利用されています。 地中海地域から広まったフェンネル。 胃腸薬、咳止めなどは各国で共通した使用方法ですが、国により少しづつ工夫が加えられて、異なった目的にも用いられているのは興味深いですね。 ◆フェンネルの研究有史以前から薬として用いられてきているフェンネルは、科学が進歩するにつれて、経験的な使用方法の効果の確認や、今までにない働きを調べるために様々な試験が行われています。その中のいくつかを見てみましょう。 ○カモミール、フェンネル、レモンバーム混合エキスの乳児疝痛に対する二重盲検法 (Phytother Res. 2005 Apr;19(4):335-40.) 乳児疝痛をよく起こす乳児93人をカモミール、フェンネル、レモンバーム混合エキスを摂取群とプラセボ群に分け、1週間摂取させて、疝痛により “泣いている時間” を測定したところ、摂取群は摂取前の201.2分/日から、76.9分/日へと、泣いている時間が優位に減少した。 一方プラセボ群は、摂取前後で優位な差は認められなかった(摂取前:198.7分/日、摂取後:169.9分/日)。この試験により、上記エキスは、乳児疝痛の改善に有効である。 フェンネルエキスだけを用いた乳児疝痛に対する効果を調べた試験もあり、経験的使用の効果を裏付けています。 ○胃腸障害に使用される伝統生薬のインビトロでのヘリコバクターピロリに対する有効性(Phytother Res. 2005 Nov;19(11):988-91.) 胃腸障害に用いられる伝統生薬について、ピロリ菌に対する最小発育阻止濃度を調べた結果、以下のような値が得られた。 MIC12.5mcg /ml : ナツメグ MIC25mcg /ml : 生姜(根)、ローズマリー MIC50mcg /ml : フェンネル、トケイソウ、マジョラム、ウコン&生姜(1:1) MIC100mcg /ml : キャラウェイ、カルダモン、ゲンチアナ、ジュニパーベリー、ラベンダー、セイヨウハッカ、ラベンダー、レモンバーム、アニス、 MIC100mcg /ml以上 : カモミール、イチョウ ※MIC(最小発育阻止濃度):微生物の発育を阻止するのに必要な抗菌物質の最小濃度。値が小さいほど抗菌力が大きい。 ナツメグ程の働きはありませんが、胃腸に対する働きをもつハーブの中では、ピロリ菌に対する働きは、かなり高いようです。 ○フェンネルオイルの肝臓保護作用 (Fitoterapia. 2003 Apr;74(3):317-9.) 4塩化炭素により肝障害を誘発させたラットを用い、フェンネルオイルの肝保護作用活性を調べたところ、AST,ALT、ALP、ビルビリンレベルを減少させることが確認された。 この研究結果によりフェンネルオイルは、4塩化炭素による肝毒性に対して肝保護作用があることが推定される。 ヒトでの試験ではありませんが、肝臓保護に対する何らかの有効性が期待できそうです。その他、フェンネルに抗酸化作用が確認されたとする文献もあります。 (Int J Food Sci Nutr. 2004 Feb;55(1):67-74.) しかし、フェンネルの新たな有効性が確認されている反面、特定の医薬品と併用する際には、注意する必要があることを示唆する文献もあります。 ○フェンネルオイルの肝臓酵素阻害作用 (J Ethnopharmacol. 2006 May 24;105(3):449-55. Epub 2006 Jan 18.) インドネシアの薬用植物の肝臓酵素阻害作用を調べたところ、フェンネル、シナモン、Strychnos ligustrina はCYP3A4を時間経過とともに阻害することが、コショウ、カユプテは、CYP2D6を阻害することが確認された。 この文献では、肝臓でCYP3A4酵素によって代謝される薬物の代謝が遅れ、血中濃度が高まる可能性があることを示唆しています。 CYP3A4によって代謝されるカルシウム拮抗剤などを常時服用している場合、フェンネルの長期摂取には注意が必要と言えそうです。 その他、フェンネルは、抗菌剤のシプロフロキサンの吸収、分布、代謝に影響を及ぼすことを示す文献もあります。 (J Pharm Pharmacol. 1999 Dec;51(12):1391-6.) ◆まとめ数千年にわたって、世界中で食品、医薬品として用いられているフェンネル。 食品として上手に利用することで、健康維持にも役立つハーブと言えそうです。 <参考> PubMed http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=PubMed フェンネル http://www.supmart.com/search/?cid=fennel |
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