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サプリメントでも摂りたい世界三大飲料『マテ』


第7回の今回は、南米でお茶のように利用されているハーブ 「イェルバ・マテ」 について掘り下げたいと思います。

 イェルバ・マテとは



イェルバ・マテ(Ilex paraguariensis)はモチノキ科の雌雄異株の常緑樹。
18mほどにまで成長し、主にパラグアイ、アルゼンチン、ブラジルなど、暖かく降水量の多い地域で栽培されています。

イェルバ・マテは、「疲労を回復し、高揚感をもたらす」 飲み物として、古くからアマゾンの原住民に嗜まれてきましたが、飲用習慣が広まったのは意外にもイエズス会の布教活動がきっかけ。
南米に渡ったイエズス会の宣教団によって、アルコール中毒者が多かった原住民に対して、「代替となる健康的な飲料」 として見出され、栽培が奨励されるようになったので(そのため、それまで飲む習慣が無かった地域では「宣教師のお茶」 として知られることになります)。
しかし、後のイエズス会宣教団の追放に伴って、マテ産業は衰退。ヨーロッパでは嗜好品として広まることはありませんでした。
このマテ産業が復活したのは、19世紀後半になってから。
現在では、ヨーロッパや北アメリカでも広く知られ、嗜好品としてだけではなく、薬効のある植物として利用されています。

○イェルバ・マテの利用方法
イェルバ・マテを用いた飲料(マテ茶) は、「コーヒー」、「茶」 と並んで、“世界三大飲料” の一つ。
一般的なマテの利用法は、日本の「お茶」のように、加工した葉をお湯に浸し、その抽出液を飲む方法です。
生の葉を加熱乾燥させてから刻んだタイプと、葉を茶色くなるまでローストしたタイプの2つが主なタイプで、まるで、日本でいう「緑茶」と「ほうじ茶」のような感じです。
お湯で抽出する以外にも、水で抽出したり、リキュールやデザートに加えたりと様々な方法で用いられています。
※紅茶のように、砂糖やミルク、香り付けに芳香性のハーブを加えて飲むこともあるようです。

○ヨーロッパでのイェルバ・マテ
ヨーロッパではその効能が注目されており、ドイツでは精神的疲労の改善、フランスでは精神的疲労や無気力、減量の補助薬、利尿薬として位置付けられています。
また、イギリスでは1996年に疲労回復、減量、頭痛に有効なハーブと位置づけられ、医薬品としてではありませんが、ここアメリカでも薬効のあるハーブとして、サプリメントなどへ頻繁に利用されています。

 イェルバ・マテの使用部位と含有成分



〔使用部位〕
使用部位は葉。葉に熱を加えた後、乾燥させます。

〔含有成分〕
イェルバ・マテには実に様々な有効成分が含まれています。

主な有効成分としてまず挙げられるのが、カフェイン、テオブロミン、テオフィリンなどのキサンチンアルカロイド。
これらの成分には、疲労感を取り除いたり、心臓の働きを強めたり、頭痛を和らげたりする働きが確認されています。
※ちなみに、カフェイン含有率は0.7〜2%程で、お茶として摂取した場合、1杯あたり50〜100mgのカフェイン量になります。

その他、マテサポニン、脂肪燃焼作用が期待できるクロロゲン酸、ステロール類、ケンフェロールやケルセチンなどのフラボノイド類、必須脂肪酸、ビタミン類、ミネラル類に15種類のアミノ酸などが確認されています。
※南米で長期間牧草地で働く人は野菜不足になりがちですが、ビタミンが不足する例がそれ程無いのはマテ茶を飲んでいるからではないかと考えられています。

 イェルバ・マテについての研究



栄養価が高く、「疲労回復のお茶」 として利用されてきたイェルバ・マテですが、今では、その他様々な働きが確認されています。
その中のいくつかを見てみましょう。

○体重減少作用に関する研究
【南米ハーブ摂取による過体重者の体重減少と食物の胃内停滞時間の延長】
(J Hum Nutr Diet. 2001 Jun;14(3):243-50.)
イェルバ・マテ(葉)、ガラナ(種子)、ダミアナ(葉)の混合粉末を用い、疾病を持たない過体重者44人を、摂取群とプラセボ群とに分けて摂取させたところ、摂取群では、10日間で最大0.8kgの体重減少、45日間では最大で5.1kgの減少が確認され、プラセボ群には大きな変化はなかった。
また、食物を摂取する前に摂取させたところ、食物の胃内停滞時間がプラセボ群に比べ有意に延長され、空腹を抑える働きがあると考えられる。

【肥満対策に用いられている植物の熱産生効果】
(Phytomedicine. 1999; 6(4): 231-38.)
一般に肥満に対する効果があるとされている植物12種についてその効果を確認する実験を行ったところ、いずれの植物を摂取しても 「エネルギー消費量の向上」は認められなかった。
しかし、イェルバ・マテについては、脂質代謝を促進していると推定される結果が確認された。これにより、さらなる研究が必要ではあるものの、イェルバ・マテには肥満の改善に対する作用があるものと考えられる。

その他の文献でも、イェルバ・マテは肝毒性などが無く、安全でかつ減量に対する働きが期待できることが示唆されています。(Obes Rev. 2005 May;6(2):93-111.)
イェルバ・マテを飲むだけでやせることはありませんが、ダイエットの助けにはなりそうです。

○抗酸化作用に関する研究
【イェルバ・マテ抽出液は、高コレステロール食を摂取させたウサギの動脈硬化の進行を遅延させる】
(Biofactors. 2006;26(1):59-70.)
ウサギを用い、高コレステロール食とイェルバ・マテを与えた群と、高コレステロール食のみを与えた群とを比較した結果、両群とも血中コレステロール値に変化はなかったが、イェルバ・マテを与えていた群では、動脈硬化部位が極めて小さくなっていた。
イェルバ・マテには、コレステロール値を低下させる働きはないが、酸化ストレスが原因となる動脈硬化の進行を抑える働きが期待できると考えられる。

このコレステロールの酸化に対する働きはヒトでもその効果が確認されています。

【ヒトにおけるイェルバ・マテエキスのLDL酸化抑制効果】
(Biochem Biophys Res Commun. 1996 Jul 16;224(2):338-44.)
絶食中の健康な人にイェルバ・マテエキスを摂取させ、その前後で血漿中LDL酸化を調べたところ、銅イオン誘発LDL自動酸化の阻害が確認された。
イェルバ・マテに含まれる抗酸化成分は、血中に十分吸収され、銅イオン誘発LDL自動酸化を阻害すると考えられる。

イェルバ・マテの抗酸化作用は、生活習慣病に対する働きが期待できそうです。この抗酸化作用に加え、様々な疾患の原因として、最近注目されているニトロ化ストレス(※)に対する働きもあるようです。

【イェルバ・マテエキスのNO分子種によるニトロ化ストレスの抑制に対する効果】
(Life Sci. 2005 Jun 3;77(3):345-58. Epub 2005 Feb 9.)
様々な疾患の原因の1つと考えられるニトロ化ストレスに対するフラボノイドの有効性を確かめるため、ポリフェノールと抗酸化物質を多く含む一般的な飲料でその効果を比較したところ、 「イェルバ・マテ > 赤ワイン> 緑茶」 の順に、ニトロ化ストレスに対する活性が高いことが確認された。
(※)ニトロ化ストレス(nitrosative stress):酸化ストレスと同じように、体内で生じる活性窒素種は、ガン、動脈硬化症、神経変異、炎症性疾患などを引き起こす。

体内の酸化ストレスが様々な疾患の原因となることは周知の事実ですが、過剰なNOも体に害を及ぼします。
イェルバ・マテが、ポリフェノールを豊富に含むことで有名な赤ワインよりもニトロ化ストレスに対する効果があるとは新しい発見です。

その他、タンパクの糖化(グリケーション)を誘発する物質を阻害する働きや、またそれによる糖尿病の合併症の予防に効果について示唆する文献もあります。
(Life Sci. 2002 Dec 6;72(3):279-92.)
(Fitoterapia. 2005 Jul;76(5):419-27.)

 過剰摂取についての注意



多くの優れた働きが期待できるイェルバ・マテですが、どんなに良いものでも「過ぎたるは及ばざるが如し」。

日本ではまず考えられませんが、ウルグアイでの1人あたりの平均的な「年間マテ摂取量」は、何と9〜10kg(!)にも達するとのことですが・・・、ここまで大量摂取すると、さすがに害もあります。
このように大量にマテを摂取する人は、通常のヒトに比べて1.6〜4倍も食道ガンや上気道ガンの罹患率が高いという衝撃的なデータがあるとのことです。
これは、イェルバ・マテに含まれるタンニンが原因と考えられており、温度が高いほど多くのタンニンが溶け出すため、「高温のお湯で抽出したマテ茶を好む人ほど、ガンになりやすい」 という発表もあります。
(Cancer Lett. 2006 Apr 7;)
(Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2003 Jun;12(6):508-13.)

そのため、最近では低めの温度で抽出したり、ミルクを入れて飲むことが勧められています。
また、カフェインやテオフィリンなどのキサンチン類も含むため、これらに対する感受性が強い方が大量に摂取すると、過剰に作用が現れる可能性があるので注意が必要です。
※興奮作用により、動悸や不眠、震えなどが生じることがあります。

 まとめ



アマゾン原住民の飲み物だったイェルバ・マテ。
言い伝えられてきた働きが科学的に裏付けられ、更なる有効性も確認されています。
(過剰摂取せずに)一般的な摂取量であれば、体に対する害はないため、毎日の生活に上手に取り入れて健康維持に役立てたいですね。

<参考>
PubMed
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=PubMed

イェルバマテ
http://www.supmart.com/search/?cid=yerbamate









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