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アーユルヴェーダでの使用法が近代医学でも実証されつつある『アシュワガンダ』


第10回の今回は、最近注目されつつあるアーユルヴェーダ医学で、様々な疾患に用い られている 「アシュワガンダ」 について掘り下げたいと思います。

 アシュワガンダ(Withania somnifera)



「アシュワガンダ」 は、サンスクリット語で “馬のにおい” という意味。
ナス科の植物で、その独特なにおいから、その名前がつけられたようです。
高さ1.5m程にまで成長するインド原産の植物ですが、パキスタン、スリランカ、アフガニスタンなどにも自生しています。
アーユルヴェーダ医学では、同じ薬草でも、近くで生えているものを用いる方が効果があると考えられており、インドでは庭先などにも一般的に植えられています。
アシュワガンダは、アーユルヴェーダ医学では、「ラサヤナ(rasayana):優れた作用をもつ、滋養強壮・長寿薬」 とされ、心身の安定、滋養強壮、関節炎を含めた抗炎症、催淫、疲労回復など、様々な目的に用いられてきました。

西欧では、アシュワガンダの万能薬的な使用方法から、中国伝統医学で用いられる人参(ジンセン)と同様に、“adaptogenic herb (適応促進ハーブ)” と位置づけ、「インドジンセン」と呼ぶこともあります。

 アシュワガンダの使用部位と含有成分



アシュワガンダの使用部位は主に根や葉。
インドでは、実の部分も利用されているようですが、活性成分は、根や葉に多く含まれています。

アシュワガンダには様々な活性成分が確認されていますが、代表的な活性成分は、ステロイドラクトンに分類される 「ウィザノライド (withanolides)」。
「ウィザフェリンA(withaferinA)」 や 「ウィザフェリンD(withaferinD)」 などがこれに含まれます。
※サプリメントなどには、アシュワガンダの根や葉からエキスを抽出し、ウィザノライドを1.5%以上含有する標準化エキスが用いられています。

 アシュワガンダの研究



紀元前から、滋養強壮、催淫、疲労回復と万能薬のように用いられているアシュワガンダですが、PubMed内の文献は、200足らずで決して多くはありません。
伝統的な使用方法を裏付けるものもありますが、新たな可能性を示唆する文献もあるのでいくつか見てみましょう。

○抗悪性腫瘍作用
アシュワガンダの活性成分であるWithaferin Aには、インビトロ試験、動物実験の結果から、がん細胞に対する働きが指摘されています。

【アシュワガンダ葉由来のウィザノライドによるヒト腫瘍細胞株増殖阻害】
(Life Sci. 2003 Nov 21;74(1):125-32.)
アシュワガンダの葉から12種類のウィザノライドを単離し、ヒト腫瘍細胞株NCI-H460(肺)、HCT-116(大腸)、SF-268(中枢神経)、MCF-7(胸)の増殖抑制に対する有効性を調べた。
腫瘍細胞の50%の生存率を調べた結果、withaferin AとViscosalactone Bに、がん細胞の増殖を抑制する作用が確認された。
このことから、食品としてウィザノライドを摂取することは、ヒトでの悪性腫瘍の予防と成長を遅らせる可能性がある。

【アシュワガンダルートエキスの細胞分裂サイクルと血管新生に対する有効性の評価】
(J Ethnopharmacol. 2006 May 24;105(3):336-41. Epub 2006 Jan 10.)
アシュワガンダルートのエタノール水溶液エキスを、水分画とクロロホルム分画に分け、さらにそれぞれの分画をHPLCで分離してから、ヒト喉頭がん細胞(Hep2)に対する活性を調べたところ、特定の分画でがん細胞に対する有効性が得られた。
また、がん細胞を埋め込んだマウスでも有効性が確認され、細胞の増殖と増殖の際の血管新生を抑制する作用があると推定された。

紫外線誘発皮膚がんに対する有効性も動物試験で確認され、このがん抑制のメカニズムは、細胞のがん化を引き起こす遺伝子の発現を抑制することによると考えられています。
(Phytomedicine. 2004 Jul;11(5):452-60. Links)
(Evid Based Complement Alternat Med. 2005 Mar;2(1):99-105. Epub 2005 Feb 9.)
(Mol Cancer Ther. 2006 Jun;5(6):1434-45.)

現段階では、インビトロ試験や動物試験段階での有効性に留まっていますが、より具体的ながん抑制メカニズム、ヒトでの有効性が確認されれば、新たな医薬品の開発にもつながるかもしれません。

○中枢神経系に対する働き
アシュワガンダには、不安・抑うつ状態に対する有効性や、ダメージをうけた脳の神経細胞に対する有効性も期待できそうです。

【アシュワガンダのグルコウィザノライドの抗不安、抗うつ活性における実験的研究】
(Phytomedicine. 2000 Dec;7(6):463-9.)
アシュワガンダルートは、アーユルヴェーダ医学で、心身の健康の増進、ストレス、加齢などに伴う疾患に対して頻繁に用いられるハーブである。
ラットを用い、アシュワガンダルートの不安・うつに対する働きを、抗不安薬(ロラゼパム)と抗うつ薬(イミプラミン)と比較したところ、抗不安・抗うつのどちらも、対照医薬品と同等の有効性が認められた。これは、アーユルヴェーダ医学において、アシュワガンダが不安やうつ状態に使用されてきたことを裏付けるものである。

【ウィザノライドAによる神経突起再生とシナプスの再構築】
(Br J Pharmacol. 2005 Apr;144(7):961-71.)
アシュワガンダルートから得られるウィザノライドAに重度のダメージを受けた神経細胞における神経突起の再生とシナプスの再構築作用の有無を調べた。
また、脳でのニューロン萎縮とシナプス欠如のある記憶欠如マウスでのウィザノライドAの有効性についても調べた。
軸索、樹状突起萎縮と前シナプス、後シナプスが欠損した培養ラット皮質ニューロンにウィザノライドAを用いたところ、軸索、樹状突起の再生、及びシナプスの再構築が見られた。また、マウスにおいても、大脳皮質、海馬のニューロンの軸索突起、樹状突起及び、シナプスの回復が見られた。
これにより、ウィザノライドAは、神経変性疾患の治療成分を考える上で、有力な候補であるといえる。

また、パーキンソン病モデルを用いた動物試験では、アシュワガンダの抗酸化作用とパーキンソン病で起こる神経障害に対して保護的な働きがあることが確認されています。(Hum Exp Toxicol.2005 Mar;24(3):137-47.)

○その他
多くがインビトロ試験や動物試験ですが、アシュワガンダの抗酸化活性、強壮作用、心臓保護作用、関節炎などに対する抗炎症作用を認める文献もあり、伝統的に使われてきたアシュワガンダの有用性も評価されています。
(Indian J Physiol Pharmacol. 1997 Oct;41(4):424-6.)
(J Ethnopharmacol. 2000 Apr;70(1):57-63.)
(Altern Med Rev. 2000 Aug;5(4):334-46.)
(J Ethnopharmacol. 2001 Jan;74(1):1-6.)

 まとめ



紀元前から伝統医学で、経験的に多くの疾患の治療に用いられているアシュワガンダ。
ヒトでの臨床試験は少ないものの、様々な働きが科学的に解明されつつあり、さらなる研究成果を期待しつつ、私たちの健康の維持増進にも役立てたいところです。

<参考>
PubMed
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=PubMed

アシュワガンダ
http://www.supmart.com/search/?cid=ashwagandha









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