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 ・アンドログラフィス(穿心蓮)

冬のイキイキをサポートするハーブ『アンドログラフィス』


第11回の今回は、風邪などを引き易い季節に役立つアジアの植物 「アンドログラフィス」 について掘り下げたいと思います。

 アンドログラフィス(Andrographis paniculata)



アンドログラフィスは、別名 「King of bitters」 とも呼ばれるほど、強い苦味を持つキツネノマゴ科の草本性植物です。
原産地は、インドやベトナムなど熱帯アジア。
パキスタン、タイ、マレーシアでも見られ、中国では、広東省や福建省南部など温かい地域を中心に栽培され、現在では、南アメリカや、アフリカでも栽培されています。
日本ではあまりなじみのない植物ですが、アジア地域では、薬草と位置づけられ、伝統医学でも重要な薬草として使用しています。

○アーユルヴェーダ医学
インドのアーユルヴェーダ医学では、その苦味に強壮作用があるとしています。
また、熱を取り去り炎症を抑える働きがあるとして、マラリア、胃腸炎、発熱、炎症、咳、皮膚炎、胃腸病、肝疾患など様々な疾患に利用しています。
また、ベンガル地方では、生のアンドログラフィスを配合した “Alui” と呼ばれる家庭薬を、発熱や腹痛に使用しています。

○中医学
アンドログラフィスは、中国では 「穿心蓮」 と呼ばれ、中医学でもアーユルヴェーダと同じように、清熱解毒(熱を冷まし、毒を除く)、涼血消腫(血を清め腫れを除く)作用をもつ薬草として、感染性胃腸炎、上気道炎、肺炎、風邪などによる発熱、中耳炎、泌尿器系感染、皮膚の炎症や火傷などの化膿を予防する目的などに用いています。

また、タイ、マレーシアなどの熱帯アジア地域の国々でも、発熱、腹痛、下痢などに使用しているようです。

 アンドログラフィスの使用部位と含有成分



○使用部位
アンドログラフィスの使用部位は、全草(植物全体)、又は地上部(土から上に生えている部分)。花が咲く前に採取し乾燥させてから使用します。
※現地では、必要に応じて植物を採取し、生のまま使うこともあります。

○含有成分
アンドログラフィスの代表的な活性成分は、苦味成分でもあるジテルペンラクトン系のアンドログラフォライド類(Andrographolides)とカルメジン(Kalmeghin)。その他、タンニン、アピゲニンなども確認されています。
※なお、生育地域、採取時期によって、有効成分の含有量が異なることから、アンドログラフォライドを一定量含む標準化エキスもあります。

 アンドログラフィスの研究



アジアでは、伝統的に用いられている薬草ですが、西欧諸国でもその有用性が注目され、様々な研究が行われています。
代表的な研究の中から、その幾つか特徴的なものを見てみましょう。

○上気道炎に対する働きについての研究
【副鼻腔炎を伴う急性上気道炎に対するアンドログラフィスの二重盲検法を用いた臨床試験】 (Phytomedicine. 2002 Oct;9(7):589-97.)
副鼻腔炎を伴う急性上気道炎の患者に対し、アンドログラフィス標準化エキス(SHA-10)で治療したグループ(95人)と、プラセボグループ(90人)で、アンドログラフィスの有効性を調査した。
5日間服用させ、体温、頭痛、筋肉痛、咽頭症状、咳、鼻症状、倦怠感、目の状態について評価したところ、アンドログラフィスを服用させていたグループは、プラセボグループよりも、総合的に症状の改善が顕著であった。特に、全身倦怠感を伴った頭痛、鼻、喉の症状に関しては、その差は顕著であり、解熱作用についてもある程度の有効性が認められた。 なお、咳と目の状態に関しては著しい差は認められなかったが、アンドログラフィスの急性上気道炎と、副鼻腔炎の症状緩和に対する有効性は確認でき、副作用の問題は認められなかった。

また、2000年にスウェーデンでも行われた第III相臨床試験でも、アンドログラフィスの標準化エキスについて、急性上気道炎に伴う様々な症状に対する有効性が確認されており、風邪にかかっている期間が短縮できるという報告もあります。
(Phytomedicine. 2000 Oct;7(5):341-50.) (Prim Care. 2002 Jun;29(2):231-61.)

冬や季節の変り目に、多くの方が悩まされる 「風邪」 や、それに伴う様々なつらい症状の緩和については、かなり働きが確かめられていると言って良いようです。

○抗炎症作用に関する研究
【中国伝統医学で使用されている薬草のウイルス感染ヒト上皮細胞でRANTES(※)産生に対する有効性】
(J Ethnopharmacol. 2006 Sep 19;107(2):205-10. Epub 2006 Mar 17.)
炎症部位での炎症性細胞の集積は、ウイルス感染後の慢性炎症と多発性硬化症の悪化に重要な影響を及ぼす。
レンギョウ(Forsythia suspensa Vahl.)、スイカズラ(Lonicera japonica Thunb.)、 タイセイ(Isatis indigotica Fort.)、リュウキュウアイ(Strobilanthes cusia)、アンドログラフィス(Andrographis paniculata)など、9種類の薬用植物エキスでインフルエンザAウイルス(H1N1型)に感染した気道上皮細胞(A549)でのRANTESの放出における有効性を確認したところ、アンドログラフィスが最もRANTES産生を抑制することが確認された。
※RANTES:好酸球やメモリーT細胞に遊走活性をもつケモカイン。RANTESの産生はアレルギー性炎症の悪化に関与するとされている。

炎症に対し明らかな有効性が確認されれば、様々な疾患に対して応用できる可能性があります。

○肝保護作用に関する研究
【アンドログラフィス由来アンドログラフォライドとアラビノガラクタンタンパクによるエタノール毒性に対する肝保護作用】(J Ethnopharmacol. 2006 Oct 28;)
アンドログラフィスの肝保護作用について、シリマリンを標準としてその活性を調べた。
アンドログラフィスに含まれるアンドログラフォライド(ANDRO)と、アラビノガラクタンプロテイン(AGPs)を抽出し、マウスに対して異なった用量(62.5、125、250、 500mg/kg)を7日間に渡って腹腔内注射で投与し、その後エタノール(7.5g/kg)を腹腔内注射し、肝保護作用があるかを調べた。なお、比較試験として、シリマリンを標準に用いた。
肝臓保護作用の評価の指標としてGOT、GPT、ACP、ALP、LPレベルを調べた結果、125mgと500mgのものがシリマリンよりも効果があることが確認された。
これにより、ANDROとAGPsは、アルコール誘発肝毒性に対し、生理活性を持つことが確認された。

【アンドログラフィスによるBHC誘発肝障害マウスでの肝臓保護作用と抗酸化作用】
(Indian J Exp Biol. 2001 Jan;39(1):41-6.)
アンドログラフィスは、BHC(※)により誘導されるy-グルタミルトランスペプチターゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼの活性と脂質の酸化を防ぐ。
また、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチンペルオキシダーゼの抗酸化活性と、グルタチオンレベルはBHCにより減少するが、アンドログラフィスを投与すると、抗酸化酵素の活性及び、グルタチオンレベルが維持がされ、リピッドペルオキシダーゼの活性も低下した。
これは、アンドログラフィスに抗酸化作用と肝保護作用があることを示唆している。
※BHC: ベンゼンヘキサクロリド、塩素系農薬の一種

これはヒトでの試験ではありませんが、肝保護作用が認められたことは、伝統的な使用法 “毒をとる” という働きを裏付ける結果であり、今後更なる研究が期待されます。

その他、伝統的に下痢や胃腸炎などに対して使用されていることから、細菌に対する 働きについての研究も行なわれています。
しかしながら、アンドログラフィスに含まれるアンドログラフォライドやアラビノガラクタンが、それらの微生物に対して活性をもつと推測されているものの、現在のところ 決定的な作用機序はわかっていません。
( Food Prot. 2006 Oct;69(10):2336-41.)
( J Nat Prod. 2006 Mar;69(3):319-22.)
( Fitoterapia. 2003 Dec;74(7-8):692-4.)
(J Med Assoc Thai. 1990 Jun;73(6):299-304.)

この作用機序が確認されれば、現代医学におけるハーブ療法においても、アンドログラフィスが活用される機会が増えることになりそうです。

 まとめ



アジア諸国では、様々な薬効がある薬草として繁用されているアンドログラフィス。
日本ではまだなじみは薄いですが、スウェーデンで行われた第III相臨床試験の結果から、少なくとも風邪などの症状に対する一定の有効性があることは明らかであるようです。
風邪などをひきやすい季節、アンドログラフィスも上手に利用して健康維持に役立てたいですね。 当然ながら、うがい手洗いの励行 (そして、鼻洗浄!) もお忘れなく。

<参考>
PubMed
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=PubMed

アンドログラフィス
http://www.supmart.com/search/?cid=andrographis









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