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 ・ロディオラ・ロゼア

ストレス対策や運動能力向上に役立つ
『ロディオラ・ロゼア』


疲労やストレス対策によく使われる「ロディオラ・ロゼア(Rhodiola rosea)」 について掘り下げていきたいと思います。

 ロディオラ・ロゼア(Rhodiola rosea)とは



ロディオラ・ロゼアは、主に中央アジア、シベリア東部、ヨーロッパ北極圏地域の標高が高い砂地に自生するベンケイソウ科の多年性植物です。
高さ70cm程度まで成長する多肉植物で、夏に黄色い花をつけます。
薬として利用される太い根茎は黄色く、またバラのようなにおいがあることから、「ゴールデンルート」、「ローズルート」 とも呼ばれています。

ロディオラ・ロゼアの属するロディオラ属には200種類以上もの植物が含まれ、近縁種はヨーロッパ、北アメリカ、中国などの高緯度地域や標高の高い乾燥した地域にみられ、ロディオラ・ロゼアと同じように薬草として使用されています。
中国ではロディオラ・ロゼアは紅景天と呼ばれていますが、その近縁種は「○○紅景天」との名がついており、混同されて使用されていることがあります。
日本ではイワベンケイと呼ばれていますが、やはり近縁種との混同されているケースがあるようです。


 ロディオラ・ロゼアの使用部位と主要成分



○使用部位
使用部位は根茎で、乾燥させた根茎をアルコールと水で抽出したエキストラクトが薬やサプリメントに用いられています。

○活性成分
ロディオラ・ロゼアの特徴成分は、ロザビン類(rosavins)とサリドロサイド(salidroside)。
ロザビン(rosavin)、ロジン(rosin)、ロザリン(rosarin)などのロザビン類とサリドロサイドが活性成分とされており、ロディオラ・ロゼア標準化エキストラクトには、3%のロザビン類、0.8〜1%のサリドロサイドが含まれています。
その他にもフラボノイド、モノテルペン、トリテルペン、クロロゲン酸、バラの香りに似た芳香成分ゲラニオールや、ジヒドロクミンアルコールなどが含まれていることが確認されています。

なお、ロザビン類は、ロディオラ・ロゼアのみに含まれ、その他のロディオラ属の植物には含まれておらず、そのため近縁種にはロディオラ・ロゼアと同様の働きは期待できません。

○摂取量
一般的な摂取量は標準化エキストラクトで370mg程度とされています。
なお、著名な医師であるペリコン博士の著書 「7 Secrets to Beauty, Health, and Longevity: The Miracle of Cellular Rejuvenation」 では、1回に標準化エキストラクト250mgの摂取を勧めています。


 ロディオラ・ロゼアの歴史と伝統的な使用方法



○歴史
古代ギリシャの医師Dioscoridesの薬学書 「De materia medica」 には、「rodia riza」 という名称で、薬としての使用法が記録されています。
※なお、“rodia riza”は、後に、リンネによって“Rhodiola rosea”という学名に改められています。

ロシア、スカンジナビア地域では昔から薬として使用されており、1725〜1960年の間に、スウェーデン、ノルウェー、フランス、ドイツ、ロシア、アイスランドで、薬としてロディオラ・ロゼアを使用していたという記録があります。

また、1960年以降は、北欧、ロシアを中心に180以上もの薬理、植物科学、臨床研究などが行われ、これらの国では重要な薬草として確固たる地位を築いているようです。

○各国での使用方法
ロディオラ・ロゼアは、ロシアや北欧、中国で、滋養強壮、長寿、高山病、疲労回復、貧血、抑うつ、インポテンス、胃腸障害、感染症、精神疾患など、多種多様な疾患に用いられていたようです。

ロシア
東シベリアの山岳地域の村では、健康な赤ちゃんを授ける 「精霊からの贈り物」 として、ロディオラ・ロゼアの根で作ったブーケを結婚するカップルに贈る風習が現在でも残っています。
また、1969年には40%アルコール抽出エキストラクトが医薬品として認められており、1975年には、旧ソビエト連邦の薬局方に収載され、病中・病後、肉体疲労、精神的疲労の改善薬として、健康な人の疲労回復、記憶力や注意力の向上、作業の能率を高めるための強壮薬とされています。
スウェーデンロディオラ・ロゼア標準化エキストラクトは、1985年に抗疲労薬、強壮薬、精神疲労改善薬としての認可を得ています。
※臨床的、薬理学的にも抗ストレス作用が認められてたロディオラ・ロゼア標準化エキストラクトには、Swedish Herbal INstituteが提供するSHR-5があり、多くの研究で使用されています。
デンマーク
2001年に、抗疲労薬、滋養強壮薬としての使用が認められています。

その他、中央アジアの国々では、厳しい冬の間、風邪などの疾患のためにお茶として使用されており、モンゴルなどでは結核やがんに対しても使用されていました。
また、中国でも滋養強壮薬として珍重され、近縁種も同じように薬草として使われています。


 ロディオラ・ロゼアについての研究



このように、北欧圏では古くから利用されているロディオラ・ロゼアですが、研究の多くが主にスラブ語やスカンジナビア地域の言語で記録されていたためか、アメリカやその他のヨーロッパ地域で注目されるようになったのは1980年代に入ってからのことです。

特にアダプトゲン(adaptogen:ストレスがかかったときに体がそれに適応できるように助ける物質)としての有効性が注目されているので、その幾つかをみてみましょう。


○ストレスに対する働き

【食事制限下での試験期間中のストレスによる学生の疲労に対するロディオラ・ロゼアSHR-5エキストラクトの有効性を確認するための二重盲験試験】
(Phytomedicine. 2000 Apr;7(2):85-9.)

緊張が続く試験期間中の外国人学生を対象に、ロディオラ・ロゼアSHR-5エキストラクトの適応促進と適応向上に対する有効性を確認するための二重盲験試験を行った。
20日間の試験期間にロディオラ摂取群とプラセボ群の2つのグループに分け、肉体的、身体的パフォーマンスを評価した。その結果、ロディオラ摂取群はプラセボ群に比べ、身体、神経運動機能テスト、及び、精神的疲労に対する評価が高かった(P<0.01)。

また自己評価でもロディオラ摂取群のほうが、プラセボ群よりも自己評価が高く、ロディオラ・ロゼアの摂取はストレス下での精神・肉体疲労に対する適応能力向上作用があると いえる。


【異なる2つの量のロディオラ・ロゼアSHR-5エキストラクト投与群とプラセボ、コントロール群での精神的作業に対する働きに関する無作為割付比較試験】
(Phytomedicine. 2003 Mar;10(2-3):95-105.)

ロディオラ・ロゼアSHR-5エキストラクトの疲労及びストレス下での精神作業(※)能力に対する有効性と単回投与時の標準使用量を調べるため、19〜21歳の健康な161人の男性を対象に無作為割付二重盲験プラセボ対照群間比較試験を行った。
※精神作業:メンタルワーク(mental work)。身体作業(肉体を使って行う作業)に対して使われる言葉で、頭脳を使って行う作業。

ロディオラ摂取群は、精神刺激薬及びアダプトゲン薬として用いられる標準量(2カプセル:370mg)と、その50%増量群(3カプセル:555mg)の2つに分け、プラセボ群と何も摂取させないコントロール群の合計4グループに分けた。
なお、この試験は寄宿生活にあり同様の生活環境下にある軍訓練生を対象とした等しい条件下で行ない、心拍数、血圧などの生理学的パラメータも計測した。

<結果>
AFIデータ(抗疲労指標:時間単位における仕事量と仕事の質を組み合わせたデータ)を用いて比較したところ、摂取群は投与群に比べ、AFI標準値が1.0385(2カプセル摂取群)と1.0195(3カプセル摂取群)であったのに対し、プラセボ群は0.9046であった。
この数値は、統計学的に優位差が認められるもの(P<0.001)であり、摂取することで精神作業に対する効果があったといえる。なお、摂取群間では優位差がないことから、標準的な摂取量で精神的作用に対する有効性が確認できる。
※なお、生理学的試験ではどの群でも違いは見られなかった。

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この他、ロディオラ・ロゼア標準化エキストラクトを健康な医師56人を対象に夜勤時に摂取させた二重盲験法試験では、注意力や認識力、精神的疲労の緩和がみられたとする文献もあり、 ロディオラ・ロゼアの精神的・肉体的ストレスに対する有効性は明らかです。
また、ロディオラ・ロゼア同様にアダプトゲンとして知られるスキサンドラ(五味子)とエレウテロエキストラクトでの比較試験ではロディオラ・ロゼアの効果が最も高く、1回の摂取でも精神的、身体的作業能力を向上させ、その作用は、摂取後、30分以内で出現し、4〜6時間持続することが確認されています。
(Phytomedicine. 2000 Oct;7(5):365-71.)
(Phytother Res. 2005 Oct;19(10):819-38.)


○持久運動能力に対する働き

上記のようなストレス下での能力発揮に加え、他の身体に対する作用についても研究されています。

【ロディオラ・ロゼアの経口摂取は持久運動能力を向上させる】
(Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2004 Jun;14(3):298-307.)

ロディオラ・ロゼアの頓服(※)的摂取、及び継続的摂取、それぞれがもたらす、身体能力、筋力、四肢運動速度、反応時間、注意力に対する作用を調べた。
※「頓服」: 定期的・継続的に摂取するのではなく、必要時に摂取すること。

[フェーズ1]
24人を2群に分け、二重盲験法で2日間の試験を2セッション行った。
1日目は、摂取群(ロディオラ・ロゼアエキストラクト[ロザビン3%、サリドロサイド1%含有] 200mg+スターチ 500mg)とプラセボ(スターチ 700mg)群に、それぞれを摂取させた1時間後に四肢運動速度(プレートタッピングテスト)、聴覚、視覚反応時間、及び注意力持続に対する能力(Fepsy Vigilance test)で評価し、2日目は1日目と同様の方法で、最大等尺性膝伸展トルク及び持久運動能力の試験を行なった。
5日間の休薬期間の後、摂取群とプラセボ群を入れ替え、第2セッションの試験を第1セッションと同様に2日間行なった。

[フェーズ2]
12人を対象に、摂取群はロディオラ・ロゼアエキストラクト200mg、プラセボ群はスターチ200mgを4週間摂取し、その後フェーズ1と同じ内容の試験を行なった。

<結果>
フェーズ1では、摂取群の方がプラセボ群よりも疲労困憊に至るまでの時間が長く、VO2ピーク(最大酸素摂取量)及びVCO2ピーク(二酸化炭素排泄量)についても、プラセボ群よりも高い値を示した。
プラセボ群摂取群
Time to exhaustion (p<.05)16.8(±0.7)min17.2(±0.8)min
VO2peak (p<.05)50.9(±1.8)ml/kg/min52.9(±2.7)ml/kg/min
VCO2peak (p<.05)60.0(±2.3)ml/kg/min63.5(±2.7)ml/kg/min

肺換気量についても、摂取群の方がプラセボ群よりも高い値を示した。また、その他のパラメーターには違いはなかった。
なお、フェーズ2ではプラセボ群との違いは確認出来なかった。

これらの結果より、ロディオラ・ロゼアの頓服的摂取は、健康な若者の持久運動能力を向上させ、4週間の常用ではこうした効果が得られないことが確認できた。

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ロディオラ・ロゼアは、運動の直前に摂取することで効果があり、一方で、継続的に摂取しても運動能力の面では効果は無いようです。

持久力を高める作用については、動物での過酷な試験もあり、ロディオラ・ロゼア標準化エキストラクトを摂取させたマウスと、コントロール群での水泳持続時間を調べたものもあります。
なお、この試験でも、摂取群の方が長く泳ぎ続けたことが確認されています。
(Bull Exp Biol Med. 2003 Dec;136(6):585-7.)


○その他の研究

インビトロ試験や動物試験では、がん細胞の増殖抑制、シクロホスファミド(抗がん剤)投与時のシクロホスファミドの毒性の緩和と薬剤の効果を高めることが確認されています。
ヒトでの臨床実験としては、表在性膀胱がん患者12人に対する小規模なパイロット試験で、白血球とT細胞のパラメータが向上し、再発する頻度が低下したとの報告がありますが、この試験結果では統計上の優位差は認められず、更なる研究が必要となっています。
(Acta Societis Botanicorum Poloniae 1998;76(1):69-73.)
(Biofizika 1997;42(2):480-3.)
(Urol Nefrol (Mosk) 1995;(2):46-7.)
(Phytother Res. 2005 Sep;19(9):740-3.)


 まとめ



多くの人が何らかのストレスを感じている現代社会。
日頃からストレスをためないようにすることが一番ですが、どうしてもうまくいかない時もあります。 何とかそれを乗り越えなければいけない、ここ一番の踏ん張りどころ、といった、心身に瞬発的なパワーが必要な時、ロディオラ・ロゼアは強い助けとなりそうです。

<参考>
PubMed
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=PubMed

American Botanical Council

ロディオラ・ロゼア
http://www.supmart.com/search/?cid=rhodiola









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