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アマゾンの奇跡のフルーツ 『アサイー』


今回は、驚異的な栄養価を誇り、日本でも認知度が高まりつつあるアサイーについて掘り下げていきたいと思います。

 アサイー(Euterpe oleracea)とは



アサイー(Acai; 学名:Euterpe oleracea)は、日本ではワカバキャベツヤシと呼ばれるヤシ科の植物。
ブラジル北部のアマゾン川流域のバルゼア浸水林(Varzea flooded forests)の原産で、パラ州のアマゾン川流域で最も多く生育しています(アマゾン川流域で生育するヤシ科の植物の中で、最も多く見られるのがアサイーだといわれています)。
その他、コロンビア、スリナム、フランス領ギアナ、パナマ、エクアドル、トリニダード・トバゴでも生育しています。

アサイーは、竹のように1つの根から複数の芽を出して群生し、高さ15〜25m程度まで成長します。
発芽後3年で実をつけ始め、5〜6年後に最も多くの実をつけます。幹上部の生い茂る葉の下の部分に穂状に実がなり、7〜12月の乾季の時期に最も多く採取できますが、1年を通じて実はなり、1本の木から1年に約20kgもの果実の収穫が見込めます。

熟すと濃い紫色になる、直径1/2インチ(約1cm強)程度の小さな果実は、そのほとんどの部分を種が占めています。
大変傷みやすいため、生果のままでは流通できず、収穫後はすぐに加工したり、冷凍を行なう必要があります。
長い間、現地に住む人々のみが口にできる伝統食でしたが、近年になってその驚異的な栄養価と機能性が知られるようになるにつれ、アメリカでは健康と美容に役立つ “スーパーフード”として注目を集めるようになりました。


 原産地でのアサイーの利用法



アサイーの部位のうち、当然ながらアサイーの果実が最もよく利用されていますが、原産地ではその他の部分も、食品や民間薬として利用されています。

○実(ベリー)
最もよく利用されているのが、アサイーベリーと呼ばれるアサイーの実。
種を取り除いた果肉と果皮部分を絞り砂糖などで甘みをつけたジュースは、町中で飲むことができます。それに滋養強壮作用のあるガラナを加えたものは、特にポピュラーです。
また、アサイーをつぶして作ったジュースは大変栄養価が高く、ミルクの代わりに子供の朝食としても利用されています。 アサイーの果汁、マニオックミール(キャッサバの粉)、砂糖を混ぜて粥状にしたものは現地の伝統食の一つで、主食や料理の付け合せとして食べられています。
その他、アサイーを加えたゼリー、ヨーグルト、酒、ケーキ、プリン、チョコレート、アイスクリームなど、様々な飲料や食品があり、現地の人々にとっては欠くことので出来ない食品であることがわかります。

○芽・幹
アサイーの芽や幹の中心部分(芯)は、パームハート(パルミット)と呼ばれ、サラダなどに利用されます。若木を切って芯の部分を利用するため、これは贅沢な食材で、缶詰やビン詰めとして世界に輸出されています。

○果皮
すりつぶした果皮を湯で煎じた液は、皮膚の傷、湿疹、潰瘍などの皮膚の治療に用いられます。

○種
種をつぶして採れる緑色のオイルは、結核性リンパ節炎の治療に使用されてきました。また、炒って粉砕した種を湯で抽出したお茶は発熱時に服用します。その他、黄疸の治療や血液に滋養を与える造血剤としても用いられています。
※種そのものは食べられません。

○根
煎じたアサイーの根から得られるエキスは、糖尿病、肝炎、マラリア、腎疾患、月経困難症など、様々な病気の治療に利用されています。


 アサイーの人気



現地では、一般的な食品として、また民間療法薬としても利用されているアサイーですが、ブラジル以外の地域でもその名が知られたのは、アサイーの実(アサイーベリー)の栄養価が知られるようになってから。

抗酸化成分や多様な栄養成分を豊富に含むことが確認され、加工・保存技術の発達によって長距離輸送が可能になったことで、アサイーベリーは、アメリカをはじめ、ニュージランド、オーストラリア、南米全域、日本、中東など、多くの国々で食べられるようになりました。
※これらの国では、アサイーを入れたジュースやスムージーなどの飲み物、アサイー果肉の乾燥粉末やそれをカプセルに充填したサプリメントなどが販売されています。

アメリカでは、2002年後半位から、アサイーベリーがメディアに取り上げられ始め、2004年のOpra WinferyのTV番組で医師Perriconeがスーパーフードとして紹介、そして、2005年に同氏の著書、“The Perricone Promise : Look Younger, Live Longer in Three Easy Steps”で、スーパーフードの中で最も健康効果が期待できる食品のトップに紹介したことで、一気に認知度が高まりました。その後、爆発的な人気となったアサイーベリーは、今やトップアスリートや、格闘家、セリブリティ達のみならず、少しでも健康や美容に気を遣う人なら誰もが知るスーパーフードとなっています。
※アサイーを最初にアメリカに紹介した企業は、「(アマゾンに “自生” しているアサイーから採取した)アサイーベリーを輸入することは、アマゾンの自然環境の維持と現地の人々の生活を守ることにつながる」 という、環境保護の観点、フェアトレードの観点での有用性を強調し、それがアサイーの価値を高めることにつながったとも考えられています。


<メディアで取り上げられたアサイーベリー>
2002年8月Sports Illustrated Women 秋号(TIME社)
2003年4月Wall Street Journal
2002年8月American Curves Magazine
2002年8月New York Times
2002年8月Washington Post
2002年11月Oprah Winfrey Show
2005年2月Business 2.0
2006年1月University of Florida News
2006年11月ABC News -Denver
2007年1月ABC News -Chicago

これらメディアでは、赤ワインの30倍以上、ブルーベリーの10倍以上の抗酸化活性があること、ミネラル、食物繊維、必須脂肪酸やビタミンEなどの健康に役立つ栄養素を豊富に含むこと、様々な疾患(心臓病、がん、アルツハイマーなど)の予防、滋養強壮、スポーツ選手のエネルギー源として役立つことを取り上げ、その栄養価の高さと健康に対する効果を論じています。


 アサイーの果実に含まれる成分



様々な栄養素を含むことから “スーパーフード” と呼ばれ、卵や牛乳と並んで地球上の食品の中で最も “完全食” に近い食品の一つともいわれているアサイーベリー。
アサイーベリーには、抗酸化活性を持つポリフェノールの1種アントシアニンや、様々なフラボノイド、必須脂肪酸、アミノ酸、ミネラル、食物繊維などが確認されています。

○アントシアニン(anthtocyanins)とプロアントシアニン
5種類のアントシアニンが含まれ、その主なものが、「cyanidin 3-glucoside」と「cyanidin 3-rutinoside」の2つ。
そして、これら5種のアントシアニンの含有量は3.1919mg/g(乾燥重量)、同じように抗酸化作用を持つポリフェノール、プロアントシアニン(proanthocyanindins)は重合体として存在し、総含有量は12.89mg/g(乾燥重量)にもなります。

○フラボノイドやその他の植物栄養素
抗酸化活性をもつフラボノイドも多種多量に確認されており、エピカテキン、homoorientin、orientin、isovitexin、scoparin、taxifolin deoxyhexoseや、未だ名前のついていないフラボノイドもいくつか発見されています。
その他、エラグ酸、p-hydroxy-benzoic acid、gallic acid、protocatechuic acidなどの抗酸化植物成分も含まれています。

○脂肪酸
乾燥重量の18%程度が脂肪酸で、その内訳は、多価不飽和脂肪酸:11.1%、単価不飽和脂肪酸:60.2%、飽和脂肪酸:28.7%です。
また、主な脂肪酸は、オレイン酸(53.9%)とパルミチン酸(26.7%)です。

○ステロール類
ベータシトステロール、カンペステロール、シグマステロールなどのステロールを0.048%(乾燥重量)含みます。

○アミノ酸
乾燥重量の7.59%がアミノ酸で、19種類のアミノ酸が確認されています。

○ミネラル
鉄、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、銅、マンガン、亜鉛、ホウ素といった多様なミネラルを含むことが確認されています。
特に鉄の含有量が多く、3.5オンスの果肉に1.5〜3.5mgも含みます。

○炭水化物
食物繊維が乾燥重量の25%を占める一方で、ショ糖や果糖の含有率が低いのが特徴です。
そのため、アサイー自体にはフルーツ的な甘さはほとんどありません。

(J Agric Food Chem. 2006 Nov 1;54(22):8598-603.)
(Acai Berry Fruit of Paradise)


 アサイーの研究



健康に役立つ様々な成分を含むアサイーは、人々の健康に対する有効性を評価する研究が行われています。

○抗酸化作用に対する研究

【フリーズドライアサイーパウダーの抗酸化能とその他の生物活性】
(J Agric Food Chem. 2006 Nov 1;54(22):8604-10.)

アサイーは、インビトロ試験で高い抗酸化能をもつことが確認されており、特にスーパーオキシドとペルオキシラジカルを捕捉する働きが高いことから、健康に有益であると考えられている。
この研究では、アサイーベリー(果肉および果皮)のフリーズドライ粉末のフリーラジカルに対する働きを異なる分析法で調べた。 SOD測定ではスーパーオキシドに対して非常に優れた働きがあることが、ORACFL(蛍光プローブフルオレセインを用いた酸素ラジカル吸収能分析)による測定ではペルオキシラジカルに対し、他のいかなる食品よりもはるかに高く、そしてNORAC及びHORAC測定では、ペルオキシラジカルとヒドロキシラジカルに対して相対的に穏やかな抗酸化作用があることが確認された。
アサイーのSOD活性は1614単位/gであり、スーパーオキシドアニオンラジカル(O2*-)に対し、極めて高い除去能を持つ。これは、これまでに測定したどのフルーツや野菜のSOD活性単位よりもはるかに高い数値である。
また、総フェノール量についても比較対象として測定された。
総抗酸化物(TAO)測定では、アサイー中の抗酸化物は遅効性物質と即効性物質の2種があることが確認された。
ヒト好中球での“活性酸素種(ROS)生成阻害測定”では、アサイーの抗酸化物質は、その機能を維持した状態で細胞内に入リこみ、極めて少量で、酸素捕捉能を発揮した。
また、抗炎症や免疫機能に関係する生理活性についても調べたところ、アサイーには、シクロオキシゲナーゼ1,2を阻害する働きも確認された。


【アサイーのNO産生とiNOS(誘導型NO合成酵素)発現抑制効果】
(J Ethnopharmacol. 2006 Sep 19;107(2):291-6. Epub 2006 Mar 22.)

アサイーはブラジルでは経済価値の高い食物で、貧しい地域では、その果汁を循環器系疾患など、酸化が主な原因となる疾患の治療に利用されていることが報告されている。
あまりにも一般的に使用され、その科学的根拠が確認されていないため、本研究では酸化が関係すると考えられる疾患に対する民間薬としての利用が適切かどうかを調査した。
アサイーの花、果実、花序のNO産生、NO捕捉能、また、iNOS(誘導型NO合成酵素)の発現に対する働きを調べた結果、アサイーの果実のNO産生抑制能が最も高いことがわかり、次いで、花、花序の順となった。 なお、NO産生抑制は、NO捕捉による働きではなく、iNOS発現抑制によるものであった。
また、「cyanidin-3-O-glucoside」 と「cyanidin-3-O-rhamnoside」濃度が高いほどその働きが強く現れた。

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NOは血管平滑筋を弛緩させることで血管内腔を広げ、血圧の上昇を抑える働きがある一方、NO自体がフリーラジカルであるため、過剰なNOはラジカル反応を引き起こし、細胞や組織にダメージを与える酸化と炎症を誘引する物質でもあります。

また、血中脂質の酸化は血管壁の障害に関係し、様々な循環器系の疾患を引き起こします。アサイーのもつ抗酸化作用は、活性酸素種を捕捉するだけでなく、フリーラジカルを発生させる元となる酵素の働きも抑え、同時に炎症の発現抑制にもつながると考えられます。

この他、アサイーの主なアントシアニンである「cyanidin 3-glucoside」と「cyanidin 3-rutinoside」は、レスベラトロールやビタミンCよりもはるかに抗酸化能が高いのですが、これらはアサイーベリーの持つ全抗酸化活性のうち、わずか10%程度を占めるに過ぎないことが確認されています。
このことから、アサイーの抗酸化活性は、アントシアニンだけではなく、まだ知られていない成分の働きも大きく関係していると考えられています。
(Int J Food Sci Nutr. 2005 Feb;56(1):53-64)


○ヒト白血病細胞に対する働き

【アサイーのポリフェノールとそれらの配糖体は、HL60白血病細胞のアポトーシスを引き起こす。】
(J Agric Food Chem. 2006 Feb 22;54(4):1222-9.)

アサイーに含まれるポリフェノールのHL-60白血病細胞に対する抗増殖、およびアポトーシス誘発作用を調べるため、アントシアニン、非アントシアニンポリフェノールの配糖体と、それぞれのアグリコンフォーム(単体型)、またそれらを組み合わせたものでの相加作用の有無について調査した。
これらのポリフェノール分画(0.17〜10.7microM)はいずれも、カスパーゼ-3活性(※)によって引き起こされる細胞のアポトーシスにより、細胞増殖を56%〜86%減少させた。
なお、アントシアニン分画と非アントシアニンポリフェノール分画をあわせても、細胞の増殖抑制作用に対する相加作用は無かった。 等モル濃度でのがん細胞に対する働きは、非アントシアニン分画では配糖体型の方が、アントシアニン分画ではアグリコン型の方が高かった。
アサイーには、生物活性の高いポリフェノールが豊富に含まれており、健康に対する有効性を調べる意義がある。
※カスパーゼ-3:タンパク分解酵素の1つ。細胞のアポトーシスに対する作用をもつ重要な酵素。細胞分裂の終焉に関係し、がん細胞の増殖抑制にも関与する。


現段階では、実験室レベルでの研究成果でしかないため、直接疾患の治癒につながると言うことはできませんが、人の健康に役立つ成分を豊富に含んでいることは確かなようです。


 まとめ



原産地でしか食べることができなかったアサイーですが、今ではブラジルから遠く離れた地域でも、冷凍フルーツやパウダーを原料にした食品を手軽に入手することができるようになりました。
その有用性の秘密はまだまだ解明されていない点もありますが、抗酸化成分や様々な栄養素を豊富に含み、“スーパーフード” さらには “完全食”とまで呼ばれているアサイーの栄養価は確かなもの。
健康と美容をサポートする食品として、積極的に利用してみてはいかがでしょうか?


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